あの日のことを

毎年、必ず思い出せるだけ思い出して書き起こそう。私の記憶から消えないように。

狭い四畳半の部屋の中で1人で寝ていた。
朝方、ドンッって突き上げられるような衝撃を受けて、ドガガガガガって揺れた。
こんなに長く続く自身は初めてで、微動だにできなかった。
上の棚から絵の具セットが落ちてきた。
 
テレビをつけたら大変なことになってて、
それを見ていた父は急に強張った顔で、
「会社の様子を見てくる!」と家からダッシュで出て行きました。
当時、父は御影で働いていました。
高速道路が横倒しになり、
電車も途中までしか運行せず、
そして携帯電話もほぼない時代で、
音信普通が丸2日。
3日目の朝だったろうか。
父は無事に帰ってきた。

「もうめちゃくちゃや」とポツリと呟いていた。

おにぎりを配るおばあちゃん。
レインコートを配るお兄さん。
いろんな人の善意がテレビからだったけど、
いっぱい溢れていました。

1ヶ月後、父の会社へ同行させてもらった。

「これは自分の目で見た方がいい」


その判断で連れて行ってくれた。

御影の駅を降りたら、
モロゾフのチョコレートの匂い。
工場が半壊してた。
酒蔵はぺしゃんこに潰れてた。
そしてお酒の匂いもした。

そして、静かだった。

父の会社の屋上から御影の街を見渡すことができた。

ぺしゃんこだった。

街が平面だった。

なんでこんなこと起こったんだよ、って、

ここから人はどうやって這い上がるんだよ、

なんて、13歳の頃の私はぼんやり思ってた。


でも後になってわかる。


人間は強い、と。



だからこそ這い上がれるのだ。

そう、何度でも。



2017.1.17 
あれから22年

SYNCHRONIST

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